【B】きみのとなり
多分、女の価値ってオークションなんだよ。
この間、オークションで洋服を探してた時に漠然と感じたんだ。
オークションで洋服を高く売りたいって思ったら、
いい写真を撮って、説明文を工夫して、タイトルを工夫しなきゃいけない。
その三つが揃って、沢山の人が目にとめて気にかけて落札してくれる。
多分、恋もそうなんだと思う。
本当に彼氏が欲しいなら、女も頑張んなきゃ。
写真は多分、見た目のルックスなんだ。
次に説明文は言葉遣いとか態度とかの振る舞い。
最後のタイトルは、学歴とか経歴とかになってくるのかな?
そんな風に置き換えたら、ちょっと楽しくなってきた。
綺麗になるために無理をするんじゃなくて、
自分が楽しみながらやる。
やればやるだけ、自分の自身にも繋がっていくはずだから。
兄貴は最近はケアセンターの方が忙しいのか、
マンションに戻って来たとしても、遅くなる時が多い。
そんな兄貴のために、食べるか食べないかもわからないけど、
毎日食事を用意しては、ラップして冷蔵庫へと片づける。
帰ってきた兄貴はレンジで温めて食事を食べてくれてる。
そんな兄貴の行動を、自室のベッドの中で感じながら、
アタシは再び微睡むんだ。
起きる時間まで。
朝、アタシが目覚めた時にはすでに兄貴はいない。
兄貴が出掛けたマンション。
ダイニングのテーブルには兄貴が作ってくれたらしい簡単な朝食が準備されていて、
*
氷夢華へ
晩飯、ごちそうさん。
うまかった。
*
なんて短い手紙が汚い字で添えられている。