【B】きみのとなり



多分、女の価値ってオークションなんだよ。



この間、オークションで洋服を探してた時に漠然と感じたんだ。


オークションで洋服を高く売りたいって思ったら、
いい写真を撮って、説明文を工夫して、タイトルを工夫しなきゃいけない。


その三つが揃って、沢山の人が目にとめて気にかけて落札してくれる。


多分、恋もそうなんだと思う。



本当に彼氏が欲しいなら、女も頑張んなきゃ。



写真は多分、見た目のルックスなんだ。
次に説明文は言葉遣いとか態度とかの振る舞い。
最後のタイトルは、学歴とか経歴とかになってくるのかな?




そんな風に置き換えたら、ちょっと楽しくなってきた。




綺麗になるために無理をするんじゃなくて、
自分が楽しみながらやる。


やればやるだけ、自分の自身にも繋がっていくはずだから。




兄貴は最近はケアセンターの方が忙しいのか、
マンションに戻って来たとしても、遅くなる時が多い。



そんな兄貴のために、食べるか食べないかもわからないけど、
毎日食事を用意しては、ラップして冷蔵庫へと片づける。


帰ってきた兄貴はレンジで温めて食事を食べてくれてる。



そんな兄貴の行動を、自室のベッドの中で感じながら、
アタシは再び微睡むんだ。

起きる時間まで。


朝、アタシが目覚めた時にはすでに兄貴はいない。


兄貴が出掛けたマンション。

ダイニングのテーブルには兄貴が作ってくれたらしい簡単な朝食が準備されていて、





氷夢華へ

晩飯、ごちそうさん。
うまかった。






なんて短い手紙が汚い字で添えられている。

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