【B】きみのとなり
兄貴のことは、誰よりも理解したいと思うし、
兄貴に嫌われたくないって思う。
だけど……やっぱり、兄貴があの女と一緒にいるところは見たくない。
どれだけ、男に愛される女の条件に入ってても、
女は男にとっての都合の良い存在じゃないんだから。
怒りに任せて、ロッカーの扉に八つ当たり。
ポッコリと殴ったところが凹んでしまった、アタシのロッカーの惨めな扉。
ホント……やっぱり、今も兄貴に振り回されてばかりじゃん。
着替えを済ませて、貴重品だけいれる小さなバックに携帯を入れようとしたいとき、
着信が入っていることを知った。
メールの主は弥英。
内容は今日の夕方、合コンをしたいって言う内容だった。
何でも、弥英の想い人の親友である、
弥英に告白してきて、協力を買って出た奇特な、
男に都合のいい女の条件を教えてくれたその人。
むしゃくしゃしてるのもあったし、
少しは兄貴を揺り動かしてもいいかなって思って、
アタシは合コン参加に了承の返事を送信した。
その日、いつものように仕事を着々とこなすと、
勢いに任せて了承した、華奈子や弥英たちと一緒に久しぶりの合コンに参加することになる。
そして……岩本鼓【いわもと つづみ】。
今回の合コンをセッティングした男と出逢った。