【B】きみのとなり
12.そっかぁ。女はドンと構えればいいんだぁ~ -氷夢華-
アタシがマンションから愛車を走らせてF峠に辿り着いた時、
兄貴のシルエイティーの隣には、早城の愛車がとまってた。
早城は兄貴と何かを話した後、すぐに車に乗り込んで車を発進させる。
アタシの車とすれ違った時、
アイツは車内から手を軽くあげてスピードを加速させていった。
アタシは当然のように、先ほどまで早城の車が止まっていた
シルエイティーの隣に愛車をとめると、
そこにはアタシを視線でとらえた兄貴が嬉しそうに微笑んだ。
やっぱり他の男なんかじゃダメだ。
アタシには兄貴しかいない。
そう思ったらいてもたってもいられなくなって、
運転席のドアを開けて飛び出すと兄貴の胸の中に飛び込んだ。
一瞬、傾きかけた兄貴の体も足を後ろに引いて踏ん張ってくれたのか、
地面に倒れこむことはなかった。
押し倒せるなら別にそれでも良かったのに。
兄貴の体温を感じながらこの場所が一番安心できるのだと強く感じる。
すると兄貴の手がアタシを支える様に腰の方へとゆっくりと回ってきた。
予想外の兄貴の行動は、アタシをもっと大胆にしていく。
兄貴を視線で捉えてハイヒールで身長差をカバーしていることをいいことに、
兄貴の頬を両手でガシっと掴んで、自分から口づけをする。
驚いたような素振りを見せた兄貴だったけど、
次の瞬間、兄貴もアタシをかみしめるように何度も何度も口づけをかわした。