極道のこどもたち~愛されてる意味~
「若!もう辞めて下さい!」
茶髪の男は必死に主を止めようとしている。
「…うるせぇ」
主は部下の声も届かない。
茶髪の男はその場に座り込み悔しくて地面に自分の拳を打ち付ける。
自分の無力を感じながら。
誰か…。誰でもいい…。
若を止めてくれッ!
そう思った時だった。
「真守、あれはなに?」
「どっかの馬鹿が暴れてるね」
茶髪の男の真横に2人の人間が表れた。
とてつもないオーラを発しながら。
「あんたら…は…」
茶髪の男が言うと、金髪の男が言う。
「通りすがりのいい男」
「馬鹿がさらに馬鹿になったか?」
「ちょっ!なにその酷いフレーズは!」
「うるさい。そこの男。あれはお前の知り合いか?」
茶髪の男は開いた口を塞ぎ頷く。
「何故止めない?」
灰色の瞳が茶髪の男を捉える。
「…自分が…無力過ぎて…」
茶髪の男がそう言うと灰色の瞳はため息を吐いた。
「真守、あの獣を止める」
灰色の瞳はそう言って暴れる“獅子”の所へ向かった。