【完】さらば憧れのブルー
「これ!欲しいって言ってたの覚えてたの?」
「うん。進級祝い」
「ありがとう!ねえ、早速撮ってみてもいい?」
「使い方分かるの?」
「うん!前からチェックしてた使い方の動画があるから、今からスマホで見ながらやってみる」
「さすが優花さん、スマホを使いこなしていますね」
雄兄は、そんな私を見て、くすくすと笑っている。
「雄兄が使いこなせてないだけじゃん。これくらい普通」
「そういうものかなあ」
雄兄は、ギアをチェンジしながら「一番初めは何を撮るの?」と聞いてきた。
「せっかくだし、雄兄を撮ろうかな。私、雄兄が車運転してるの好きだし。絶対免許取ったらマニュアル車乗りたい」
「優花なら大丈夫だよ。器用だし。俺、坂道発進がスムーズになるまでかなり時間かかったから」
「雄兄が大丈夫っていうなら、絶対大丈夫そうだね」
「そんなに信用されてるの?俺」
「……信用してるよ。私の家族は、雄兄だけだから」
「そう」
雄兄は首を何度か縦に小さく動かして、優しく微笑んだ。