【完】さらば憧れのブルー
「思ったよりも、すごく綺麗に出来たけど、暗闇の中でフラッシュ浴びた雄兄の顔が怖くて笑える」
「え!?ちょっと見せて」
「やだ」
「……すごい気になる……」
私はちょっぴりだけ拗ねた雄兄の顔に、少しだけ優越感を感じながら出来上がった写真を通学バックの中に入れた。
実は、すっごく素敵に写真が撮れたっていうのは内緒にした。
私は通学バックを持って二階にある自分の部屋に上がると、その写真を生徒手帳の中に挟んだ。
そして勉強机に向かって、引き出しの中から日記帳を取り出すと、今日の出来事を細かく書き込んだ。
昨年の夏から書き始めた日記帳は、そろそろ二冊目を終えようとしていた。
私はこうして、自分の記憶が形として残るとほっとするのだ。
日記帳もインスタントカメラも、自分のそういう欲求を満たすための道具の一つなのだ。
「これからは、出来るだけたくさん写真を撮ろう」
私はそう呟くと、雄兄からもらったインスタントカメラをハンカチで包んで通学バックの中に入れた。