【完】さらば憧れのブルー
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私の毎朝の日課は、家のリビングの木製の小さな棚の上に置いてある、小さなフレームに入った両親の写真の前の一輪挿しの水を変えることだ。
雄兄が、朝ごはんの支度をしている間に、身支度を整えて、食卓テーブルに着く前に行う。
「お父さん、お母さんおはよう」
水を変えた一輪挿しの場所を整えながら朝の挨拶をする。
両親は昨年不慮の事故で亡くなった。
「準備出来たよ。食べようか」
雄兄に声をかけられ、食卓テーブルのいつもの席に着く。
二人そろって目配せをしたあと、一緒に「いただきます」をした。
几帳面に等分にきりわけられた、出来立てのふわふわの卵焼きを頬張る。
「美味しい!」
「そう、良かった」
雄兄は、私が卵焼きを食べている姿を見て、ほっとしたように微笑むとご飯を食べ始めた。
「今日はバイトあるの?」
「ううん。今日は休み」
「そう。迎えは何時がいい?」
「んー……どうなるか分からないからこっちから連絡するよ」
「分かった」
雄兄はそう言うと、ご飯を食べている箸を止めた。