【完】さらば憧れのブルー
「それと、ちょっと優花に聞きたいんだけど、バイト。いつまで続けるつもり?」
「え……どうしたの急に」
「いや、もう優花も2年生だし、そろそろ受験だろ?無理してバイトしなくてもいいかなって」
「無理なんかしてないし。それに、少しでも雄兄の手助けしたいから」
私は箸を止めて雄兄を見つめて、少し強い口調で自分の気持ちを伝えた。
雄兄は歯切れ悪く「うん……」と呟くと、それ以上私に意見を言うことはなかった。
「自分で無理だと思ったら辞めるよ。それならいいでしょ?」
「そうだな。無理だけは絶対にするなよ。お前溜めこみすぎるところあるから」
そう言う雄兄の目はとても真剣だった。
「私って……そういうところあるの?」
雄兄は、私の質問にはっとしたように目を見開いて瞬きをすると「いや」と言って視線を逸らし、止めていた箸を味噌汁の中につっこんで、質問をはぐらかすようにぐるぐるかき回して、一口飲んだ。
なんだか気まずい空気が流れて、学校に雄兄の車で送ってもらって「いってらっしゃい」を雄兄が口にするまで、私たちは一言も口を聞かなかった。