【完】さらば憧れのブルー
私は、家に着いてから菜子と一緒に自分の部屋に入った。
そして、今日撮ったばかりの写真を通学バックから取り出し菜子に見せた。
「見て。これ、今日のお昼に撮った写真」
「へえ。これ、インスタントカメラで撮ったの?」
「うん、そう。ほら、これ見て。昨日雄兄に進学祝いでもらったんだ」
私は続けてインスタントカメラも通学バックから取り出して菜子に見せた。
「あ。菜子の写真も一枚撮らせてね」
「え!恥ずかしいしいいよ」
「お願い!菜子の写真も欲しいんだ。あまり仲良くない友達の写真はあって、菜子の写真がないなんて寂しいじゃん」
「……一緒に映るんだったらいいよ」
「ようし、オッケー!じゃあ二人で撮ろう」
そう言って二人でどんなポーズで撮ろうか相談していたら、部屋のドアをトントンとノックする音が聞こえた。
ドアを開けると、あったかい紅茶とクッキーをお盆に持った雄兄がいた。
雄兄は、「俺が撮るよ」と言って、お盆を勉強机の上に置くと、私と菜子を写真に撮ってくれた。
雄兄が出て行ってすぐ、菜子が、「はあ……お兄さんに撮ってもらうのってなんだか緊張するね」と言って、制服のネクタイをちょっぴりだけ緩めて手で顔を仰いだ。
「なんで?」
「なんでって、優花のお兄さんってイケメンだしね」
「やっぱりそう思う?」
「出たっ!優花のブラコン!」
菜子は、冗談っぽくけらけらと笑った。