【完】さらば憧れのブルー
「まあ……きれいだなと思います」
「そう……家に帰ったら、お兄さんにそこはどこか聞いてみるといいよ。その景色を優花ちゃんに見せたいって言ってたから」
美由紀さんは、私の言葉を聞いて、ちょっぴり安心したような……でもどこか悲しそうに眼を細めながら、静かに車を発進させた。
家に帰り、美由紀さんと一緒にリビングに行くと、雄兄が瓶からコーヒーの豆を取り出してステンレス製の手動のコーヒーミルで豆を挽いているところで、コーヒー豆の香ばしい香りが部屋中に広がっていた。
「あ、私もコーヒー飲みたい」
美由紀さんはそう言って、手に持っていた小さなトートバックとコーヒー豆の入った瓶を交換して持つと、雄兄の隣に立った。
「優花ちゃんは?」
「私は、自分で入れるので」
「そうなの?」
「優花は最近、自分で豆挽いて淹れるのにハマってるんだよな」
「雄兄が淹れたコーヒーの方が美味しいんだけどね」
私は、食卓テーブルの上にいおかずの入った紙袋とコンビニの袋を置くと、椅子に深く腰掛けてコーヒーの淹れる順番を待つことにした。
「そういえばあの写真。さっき印刷して優花ちゃんに渡して置いたよ」
「え!?」
雄兄ちゃんが驚いたように声を出して、コーヒーミルから私の方へ顔を向けた。