【完】さらば憧れのブルー
「きれいだよね、この場所。これってどこなの?日本のどこか?」
「……そこきれいだろ?日本の海で見れるんだって」
「うん、そう思ったよ。これってイルミネーションか何か?」
「ううん。夜光虫って言って、その光の正体はプランクトンなんだって」
「へえ!見てみたいな!」
私がにっこり笑って答えると、雄兄ちゃんは、美由紀さんが車で見せたような表情を浮かべて「良かった」と言って、息をゆっくりと吐くと、コーヒーミルのハンドルをまた回し始めた。
「5月のゴールデンウイーク明けあたりに見に行ってみる?」
「うん!二人で?」
「うーん……そうだな……美由紀、ゴールデンウイーク明けどう?時間ありそう?」
「うん。私は大丈夫だよ」
雄兄は、美由紀さんの言葉を聞いてこくんと頷くと、「じゃあ、美由紀も一緒に」と言って美由紀さんに向かって優しく微笑んだ。
当たり前のように美由紀さんを誘った雄兄ちゃんを見ていたら、ちくんと胸が痛んだ。
その時、その胸の痛みなんてどっかに飛んでっちゃいそうなくらいの衝撃的な姿が私の目に飛び込んできた。