【完】さらば憧れのブルー
「優しいよね、高森君は」
「今頃気づいた?」
「……だね」
高森君は、冗談にちょっぴりだけ笑って返した私の表情を見て、ほっとしたように笑った。
「頭。結構痛くなるの?」
「ううん。いつもってことじゃなくて……」
私は、言葉を濁した。
高森君に言ってもいいことなのか。
言ってしまったら気を遣ってしまうんじゃないだろうかと不安になったからだ。
「ふうん?」
高森君は、不思議そうな顔をしてちょっぴり頭を傾げたけれど、それ以上深く聞いてくることはなかった。
美由紀さんはよく高森君を『バカな弟でさ』って言うけれど、私はそんなことはないと思う。
あの日以来高森君は週に一回くらい、雄兄とゲームをしに家へ来るけれどいつも「雄兄借りるぞ」と言って、私にいつもお菓子を持って来てくれる。
そういうちょっとした気遣いができるところは、なんだか雄兄に似てるなって思う。
だからなのかな?
高森君と一緒にいることがなんだか心地いいのは……。
今だってそう。
私が、あまり聞いてほしくないなって思ってることが分かっていて、黙っていてくれてるんだと思う。