【完】さらば憧れのブルー
「優花、なんか楽しいね!」
「うん。二人で来て歌うのもいいけど、こうしてみんなで来てわいわいするのも楽しいもんだね」
「優花は楽しんでる?まだ一回も歌ってないみたいだけど」
「いいのいいの。私なんだかこうしてみんなが楽しそうにしてるのみて満足だから」
「ふうん。そういうもん?」
「うん。まあ、最後まで楽しんでよ。私、これからバイトだから行くね」
私はそう言って通学バックを手に持つと、カラオケ代を菜子に渡して、汗をかきながら盛り上がるみんなにばれないように、こっそり部屋を出た。
スマホで時間を確認すると、5時のバイトには余裕で間に合いそうだ。
スマホをブレザーのポケットの中に戻そうとしたとき、後ろから肩をとんとんと叩かれた。振り向くとそこにいたのは、
「ええっと……」
「あ!俺、高森。同じクラスの」
「高森君……どうしたの?」
「あ、いや……今回のこのカラオケ、主催が武田だって聞いてたから、お礼。誘ってくれてありがとな」
「誘ったっていうか……まあ、楽しかったから良かったよね」
「うん。あ、あのさ。もし良かったらなんだけど、同じクラスだし、LINE交換しない?」
「別に構わないよ」
そう言って私は一度しまったスマホを取り出すと、高森君に自分の番号を伝えた。
高森君は、いまいちスマホに慣れてないみたいで、LINEに登録しようとするのだが、なかなかうまくいかない。