【完】さらば憧れのブルー
5月の連休初日。
私たちは、隣の県にある青い海が見られるという海に向かって雄兄の車で走り出した。
美由紀さんは助手席に。
私と高森君は後ろの席に座った。そして菜子も。
連休中、菜子の部活はなかったみたいで、私から旅行直前に誘ったら、「もちろん行くよ!」と即答だった。
真ん中に私。
そして両隣に高森君と私。
「ねえねえ海って自然に体が浮くって本当?私泳げないからさ……一応浮き輪は持って来たんだけど」
「へえ、菜子って泳げないんだ」
「あんまりね。優花は泳げるの?」
「私は、どうだろ?」
雄兄をバックミラーごしに見ていたら、雄兄もバックミラー越しに私を見ていて、ちっちゃく首を振っていた。
雄兄の反応を確認してから、「うん、私もあんまり得意じゃないかな」と答えた。
「一紀と私は、家族でプールに行くことが多かったから余裕よね」
「まあ、それなりにな」
高森君が、自慢げに答えた。
「じゃあ、私教えてもらおうかな」
そう言って高森君をちらりと見ると、嬉しそうな顔をして「もちろん」と答えるので、言った自分が急に恥ずかしくなって、顔がカーッと熱くなった。