【完】さらば憧れのブルー
「じゃあ、優花が泳げるようになったら、次は私に教えてね」
「え?一緒に教えるよ?」
「うーん……まだ私と高森君はそういう仲じゃないもん……」
「そういう仲って……」
菜子に拒絶された高森君は、しゅんと寂しそうな顔をした。
「この機会に高森君と仲良くなったらいいじゃん」
「高森君、背がおっきいから、苦手なんだよねえ。なんか怖い」
「怖くない、怖くない。ね?武田!」
「そうそう。嫌いな国語の授業中なんてね、教科書の端っこにパラパラ漫画書いててさ、そこに書いてあったキャラクターがね、可愛い女の子だったんだよ」
「えー……そういう趣味なの?」
菜子が高森君をじっとりとした目で見つめたので、逆効果だったか!?と思ったけれど、それに対して高森君が「いや、あれは、最終的に開眼して髭の生えたイケメンになるっていうストーリーが……」とか、思っていないことについて力説しだしたから、なんだか可笑しくて結果的に良かったかなとも思った。
「授業中にそんなことしてたの!?まったくバカなんだから。そんなんじゃ大学受からないからね!ただでさえ偏差値高いところだってのに」
美由紀さんが前の席から振り向いて、高森君を一括した。