【完】さらば憧れのブルー
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途中三か所の道の駅に寄りながら、休憩を挟んでついたところは、海の近くに立ったホテルだった。ゴールデンウイークということもあり、結構人がいた。
車から降りると海風がぴゅうっと肌をなぞり、少しだけ肌寒く感じた私は、薄めのカーディガンを羽織った。
「ねえ、今さらなんだけどさ、海っていうから泳ぐぞって気合い入れてきたけど、この気温だと泳げないよね?」
菜子が本当に今さら感がある台詞を言ったので、高森君と私はおかしくて……でも笑うのは失礼かと思い顔を反らせて笑うのを堪えた。
「二人とも知ってたんでしょ……」
菜子はほっぺをぷくっと膨らませて怒った。
「大丈夫。ここのホテルはプールつきだから」
雄兄が、そんな菜子をフォローするかのように、にっこり微笑んで、車のトランクから次々に私たちの荷物を降ろしてくれた。
「浮かないから、浮き輪は必須だね」
「もーっ!優花はそうやっていっつもからかうっ」
「私と雄太郎は着いたら部屋で休憩しようと思ってたけど、若者たちはどうする?」
美由紀さんが雄兄から荷物を受け取って私たちに渡しながら尋ねてきた。