【完】さらば憧れのブルー
「でも、なんだか不安、なんだよね」
「確かに」
一紀は私の考えていることが分かっているみたいで、私の言葉を聞いて頷いた。
「どうして?」
菜子は首をひねった。
「だって、生きてるんだったら、どうしてお母さんが優花のこと育てないんだよ。それっておかしいだろ?しかも育ててるのは、赤の他人だろ?親戚とかならまだしも、おかしいじゃん」
「そっか……そう考えたらおかしいよね」
「うん。だから、まずは拓から私とお母さんのこと詳しく聞いた方がいいかなと思ってる」
「了解。じゃあ、まずはそこ調べてみるね」
「ありがとう。あと作戦としては、もしあの海の近くが拓の家の近くで、私のもと住んでいた家も近いと仮定すると、行くにしてもお金がかかるだろうし、とりあえずバイトを多めに入れてもらって稼ごうと思ってる」
「なるほど。じゃあ、私もバイト探そうかな。一緒に行きたいし」
「え?来てくれるの?」
「もちろん。優花のこと心配だし」
「ありがとう」
「あ、俺も行くから。俺もバイト探すよ」
「優花のこと心配だもんね」
菜子がからかうようにして、私を挟んだ先にいる一紀ににやっと微笑んだ。