【完】さらば憧れのブルー
「うん。ほとんど毎日のように家にいるよ」
「やっぱり。全然家に帰って来てないからさ」
「家にはいるみたいなんだけどね、家の中では会わないんだよね。ずっと雄太郎さんの部屋にいる」
「ふうん……なんか見張ってるみたいじゃね?」
「どうしてそう思うの?」
「俺さ、姉ちゃんがいない間に何か情報ないかなと思って姉ちゃんの部屋入ろうとしたんだよ。そうしたらいつも鍵かけられてない部屋が鍵かけられてて入れなかった。なんか怪しいんだよな」
「見られたくないものでもある……とか?」
「疑いたくないけどな」
一紀は、はぁっとため息をつき道路に転がっていた小さな石を軽く蹴飛ばした。
「なんか、ごめん……私のせいで一紀と美由紀さんもなんだか変な感じだよね?」
「なんで謝るんだよ。いいんだ、俺は名探偵だから」
一紀はからっと晴れた表情でにっと笑って見せた。
「名探偵って言えばさ、俺、面白いもの入手したんだ」
「え?何!?」
一紀はそう言って、ズボンのポケットからスマホを取り出すと、にやにや笑いながら私に画面を見せた。