はじまりはミステイク
くっそー、こういうの鋭いよね、藤山。
「何が原因?」
「……圭吾くんが剣道を辞めた理由聞いたの」
「あぁ、そうなんだ」
歯切れの悪い返事をする藤山。後輩だもん、そりゃ藤山も知ってるよね。
「剣道すればいいのにって言っちゃった」
本音だったんだもん。
止められなかったんだもん。
「だと思った。でも、これは周りがどうこう言うことじゃないよ。圭吾先輩が決めたことだよ」
「でもっ」
「でも、は俺に言わせて」
え?
「でも、あまりがそう言ってくれてよかった」
「どういうこと?」
ちょうど部員に呼ばれた藤山。でも、彼は去り際に言った。
「多分、今まで誰も言えなかったことだから」
そして、私はそそくさと圭吾くんの隣へ戻った。チラッと圭吾くんの横顔を見る。
彼は……真っ直ぐに剣道部を見ていた。
「……圭吾くん、ごめんね」
謝らずにはいられなかった。