はじまりはミステイク
「俺こそ、ごめん」
好きな人だもん。
気まずいまま一緒にいるのは嫌だ。
「圭吾くんは悪くないよ。私の考えなしに言った言葉だもん」
「ううん、結構グサってきた」
やばい、私そんなに傷つけたんだ。
「天木の言ってることが当たってて、八つ当たりしてた」
「う、ごめ」
「謝んな。ガツンと言ってくれて嬉しかった」
ねぇ、圭吾くん。
藤山はね、圭吾くんに憧れてこの高校に入ったんだって。
圭吾くんの剣道姿を期待してるんだよ……きっと。
「よし、次藤山だぞ」
「応援いっぱいしよっ」
それからは、圭吾くんと2人で藤山の応援に没頭した。
藤山はこっちを見たかは分からないけど、藤山の姿に伝えた。
圭吾くんと仲直りしたからね、って。
その藤山は、前見た試合の時よりも迫力のある試合を魅せてくれた。
「藤山って結構すごいの?」
「おう。俺の推しメン!」
推しメンって。
「おっ、天木っ、藤山勝ったぞ!」
圭吾くんが笑う。
彼の笑顔を見て私も笑みがこぼれる。