はじまりはミステイク



「……やーっばい。藤山がカッコよく見える」


藤山マジック?


いや、オレンジジュースマジックだ。


ジュースをくれたから、いい人効果で藤山がカッコ良く見えてるんだ。絶対そうだ。


藤山は私のことをどう思ってるのかな?


一緒にいて楽しい人?


一緒にいて迷惑じゃない?


「なんでこんなこと思ってんだろ……」


手に持っているケータイを見つめて、藤山にラインをした。


【ジュースありがと】


実は言えてなかったお礼の言葉。


たった一言、言葉を打つだけでもドキドキすんだけど。


まだ見る暇はなさそうだから、返事は来ない。


でも、もしかしたら既読スルーかも!?


些細なことをラインしただけなのに、返事を期待してしまう自分がいる。


「やだやだっ!もう帰ろうっ」


おかしいな、私。


こんなこと考えるなんて、おかしい。


そんなことを1人で呟きながら、家路へ向かった。



< 105 / 246 >

この作品をシェア

pagetop