はじまりはミステイク
「……やーっばい。藤山がカッコよく見える」
藤山マジック?
いや、オレンジジュースマジックだ。
ジュースをくれたから、いい人効果で藤山がカッコ良く見えてるんだ。絶対そうだ。
藤山は私のことをどう思ってるのかな?
一緒にいて楽しい人?
一緒にいて迷惑じゃない?
「なんでこんなこと思ってんだろ……」
手に持っているケータイを見つめて、藤山にラインをした。
【ジュースありがと】
実は言えてなかったお礼の言葉。
たった一言、言葉を打つだけでもドキドキすんだけど。
まだ見る暇はなさそうだから、返事は来ない。
でも、もしかしたら既読スルーかも!?
些細なことをラインしただけなのに、返事を期待してしまう自分がいる。
「やだやだっ!もう帰ろうっ」
おかしいな、私。
こんなこと考えるなんて、おかしい。
そんなことを1人で呟きながら、家路へ向かった。