はじまりはミステイク
そして、藤山から返事が来たのは、家に帰ってお風呂から上がった頃。夜の20時を過ぎていた。
【今回だけだよ。ミーティング終わって今家帰った】
あのジュース今日のみ!?そんな返事に吹き出してしまった。そのままラインの返事をする。
【ぜひ次回もよろしく♪試合お疲れ様!また応援行くね】
また、か。
いつまで藤山との関係が続くのか、ふと思った。
考えたくないけどいつか藤山と別れて、圭吾くんに思いを伝える時が来るんだ。
そうだよ。私……藤山の彼女じゃなくなるんだよ、いつか。
いつまでこのノリで藤山の試合を観に行けるんだろう。
いつまで藤山と付き合うことが出来るんだろう。
「あー考えるとモヤモヤするー」
モヤモヤ、というよりも……想像したくない。
今が楽しい。
圭吾くんと話が出来て、藤山といる時間が……心地よい。
「あ、夏休みももう終わりだ」
セミの鳴き声が微かに聞こえる。
もうすぐ、夏が終わる。
秋が、来る。