はじまりはミステイク



「天木に言わなきゃって思ってたんだけど、なかなか言えなくて。実はさ、剣道部に入ったんだ」


「え!嘘!?」


「マジマジ。まだ新入生と同じようなもんだけどな」


圭吾くんが照れくさそうに笑う。


剣道……するようになったんだ。


「えー、練習風景見ていい?」


「ダメ!結構体鈍ってるからカッコわりーし恥ずかしい」


「ちぇっ」


練習風景はまだ見れないけど、圭吾くんが剣道部ってすごく嬉しい。


「でも軽音部はどうするの?」


「退部した。やっぱり剣道と掛け持ちは出来ないしな。まぁ、軽音部辞めるって言ったらすっげー怒られたけど」


そっか。剣道一本に絞ったんだ。


「でも、剣道に専念しろよ、辞めても文化祭とかでギターしろよ!って言ってくれたから、ちょっと安心した」


圭吾くんのことを解る部員なんだね。あっ、竜くんもいたっけ?


「てっきり藤山から聞いてるもんだと思ってたよ」


「なーんにも情報をくれませんよー」


藤山の奴、超大事なことを隠しおって。



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