はじまりはミステイク
「俺、お手柄でしょ?」
ふっと笑う藤山。
藤山は私と圭吾くんのことを応援してるから、圭吾くんとの機会を作ってくれたんだ。
でも、お手柄でも何でもない。
私は……藤山と写真が撮りたかったのに。
「藤山のバカっ」
一方的な八つ当たりをして、一華ちゃんの手を引いてその場から離れた。
「まりりん大丈夫?」
「また八つ当たりしちゃったよぉー」
一華ちゃんへ本音を漏らす。
でも、分かって欲しかったんだもん。
私が藤山と写真を撮りたかったんだって。
「いぢがぢゃーん、わだじ」
「まりりん危ないっ」
バシャッ
それは一瞬だった。
私の体操服が汚れてしまったのは。
「はい、これ着て」
「いや、いいから」
「ダメ。汚いから着て」
藤山から念を押されて預かったのは、藤山の体操服。それを受け取り、私は渋々保健室へ入って着替えることにした。