はじまりはミステイク
「なっ、なん……」
「体操服、藤山のだろ?」
バッと胸元の『藤山』の文字を手で覆った。
「いつの間にそんなに仲良くなったんだよー」
「そ、それは」
「まぁ、これからもお幸せにってな」
満面の笑みでそう言った圭吾くんは、また後でとテントを後にした。
あ、れ……?
『藤山と仲良しだな』
『これからもお幸せにってな』
圭吾くんから言われた言葉が少しだけ嬉しくて、それ以上に……ショックを受けてる自分がいる。
そうだよね。圭吾くんには私が藤山に告白して、上手くいってるカップルに見えてるんだもん。
そりゃ、圭吾くんにとって私は恋愛対象外だろうけどさ、本当なら圭吾くんに告白していたのに……
「まりりん?」
一華ちゃんがふと私を見る。
本当なら、私は圭吾くんに告白して振られていたんだ。
「ううん、何でもない」
もしかしたら、今頃は泣いていたのかもしれない。