はじまりはミステイク
「この件はもういいや。それでどうしたの?」
「昨日、寝てたの?」
え。
「ラインしたんだけど」
「ご、ごめん!疲れてて寝ちゃってて朝気づいて」
「そ。ならいいや」
私から目をそらす藤山。
「なに、返事なくて心配した?」
ちょっとだけイタズラ心が芽生える私。
「心配した。初っ端から無視かってヘコんだ」
そのままクルリと背を向けた藤山。
えっ、なに、藤山。そこで逃げるのか。言い逃げってやつ?
「藤山っ」
立ち止まった藤山は顔だけちらっと振り返る。
「また返事するから!だから、拗ねないで」
「拗ねてねーし。じゃね」
おお、鋭いツッコミ。そんなことに感心している間に、藤山は私の視野からいなくなった。
「藤山ってさ、心配性らしいね」
「ふーん。そうなんだ」
「今朝のは可愛かったな〜」
「おばちゃん、A定食くださーい」
一華ちゃんが食堂のおばちゃんに注文を投げかける。私も続けて同じものを頼んだ。