はじまりはミステイク
藤山と写真を撮れたことが嬉しいから、なんて言えない……言わない。
「わかった。後で送るね」
そう言った藤山から、2ショットの画像が送られてきたのは午後の授業中だった。
【写真ありがとう。今何の時間かご存知?】
「……勉強に集中しなっての」
独り言を呟きながら、机の中でケータイの操作をして藤山へ返事をする。
授業は社会。この担当の先生の授業はどうしてもうたた寝をしてしまう、と生徒の間では有名だ。現に今も机に顔を預ける生徒がチラホラいる。
と、その時、ケータイの画面に新着ラインの表示。
【授業中。ちなみに数学。あまりこそちゃんと勉強してる?】
【してます!こっちは社会だよ。眠たい】
【すぐ寝そうだね。頑張って起きなよ】
授業中に藤山とラインをするのは、初めて。だから、すごく新鮮な気持ち。
藤山が同じクラスだったらどうだったかな?今と同じように勉強を教えてくれる?それともただのクラスメート?
そんなことを考えながら、藤山に返事をするのも忘れて夢の国へ浸ってしまった私だった。