はじまりはミステイク
「ふぁあ……眠たい」
大きな欠伸を隠しきれず披露した私。
「コラ、集中して」
コツン
すると、藤山から軽く頭を小突かれた。
「だってー、もう1時間は勉強したよ」
「まだ1時間でしょ。閉館時間までするよ」
「えぇ!?あと1時間もある……」
「あまり静かに」
はい。
シュンと落ち込む私。
テスト期間に入り、藤山の部活が時間短縮で早く終わるため、その後に近くの図書館で勉強することになったのだ。
今日も勉強タイムなのだが……文化祭の準備も並行していると疲れがたまるのよね。
「なんでこんなに文化祭への期間が早いのかな?テスト勉強もゆっくり出来やしない」
「勉強する気ないでしょうが」
そりゃ……その通りですけど。
目の前に開いた数学の教科書を眺める。これ本当に習ったかな?線引いてるから授業は受けてる、か。
「藤山は勉強が好きなの?」
「そんなわけないよ。誰かさんと違ってのみ込みが早いだけかな」