はじまりはミステイク
「その口縫いつけようか?」
「ほら、真面目にして。図書館の人がチラチラ見てる。追い出されたら勉強出来ないよ」
へーへー。
こういう時の藤山はママ的存在。彼氏なんて名前はどこかへ置いているみたいだ。
周りをチラッと見ると同じ高校の生徒もちらほらいる。私も来年は受験だし、内申点の改善のためにも頑張らなきゃなぁ。
それから閉館までなんとか集中してみた。正確には、何度もエンジンが切れて藤山に指摘を受けたけど。
「んあーっ!終わった!帰れる!」
藤山と図書館を出て、大きく伸びをする。
「分からないところは聞いてね。分かれば教えるから」
「今日解いた範囲はなんとなく分かった!家で復習するね。でも藤山すごいね。2年の範囲も勉強出来るとかヤバイよ」
「応用みたいな感じだから、少し難しいけど解けると達成感あるよ」
私には分からない達成感だ。