はじまりはミステイク
そして、圭吾くんと竜くんと別れた私達は、チャリをゆっくりこぎながら家路へ向かう。藤山が斜め前、私と一華ちゃんが並んでいた。
「まりりん」
一華ちゃんが私の名前を呼ぶ。
「いつでも相談のるからね」
彼女が言っていることは勉強のことじゃない、すぐにピンときた。
「何言ってんのー?いつも相談のってくれてるじゃん」
「そう?最近は藤山といること多いから、ちょっと妬けるよ」
一華ちゃんがへへっと笑う。
「一華ちゃんからこんな言葉が聞けるなんて!抱きついていい!?」
「ちょっ、近づかないでっ、ぶつかるって」
一華ちゃんは、放課後はいつもバイトで、こんな風に一緒に過ごすことは少ない。彼女は家のために、とバイトを頑張ってるんだ。
一華ちゃんの言う通り、最近私は藤山といることが多いけど、でも女子の悩みとか愚痴とか言えるのは、やっぱり一華ちゃんなんだよ。
大事な友達なんだよ。