はじまりはミステイク
「ねぇっ、藤山っ!カッコイイねっ」
「ん?なんてー!?」
大きな声で藤山には話しかけるも、騒音のためなかなか届かない。
「圭吾くん、カッコイイでしょー!!」
聞こえたみたい。
藤山が一度視線を圭吾くんへ向けた後、私を見て親指を立てて頷いた。
圭吾くんの演奏を聴いて楽しむのが好き。
圭吾くんがカッコイイんだ!って藤山に言って、ちゃんと聞いてもらえるのが好き。
2曲をぶっ通しで披露した2年男子。私はノリノリで飛び跳ね、藤山も片手を上げながら視線は舞台に向かっていた。
『改めまして、2年男子です!』
曲間で圭吾くんが挨拶。みんなからはいぇーい!との返事が来た。
『去年は1年男子でしたが、今年は学年も上がり2年男子になりましたー!みんな文化祭楽しんでますかー!?』
「いぇーい!」
まるで有名人のライブみたいに盛り上がる。
ふふ、この感じ好きなんだよね。