はじまりはミステイク
「まぁ、藤山にも好都合なこともあるからかな?」
「そうだとしても、このままだと圭吾くんの方がどうなるのかなぁと思って」
「そうなんだよねぇ……」
ボーッとしながら一華ちゃんに返事をした時だった。
「見つけたっ」
誰かに肩を叩かれた。振り返ると、圭吾くんがいた。
「〇△$@!?」
食べていたカレーを喉に詰まらせ言葉を発せず、水を2口飲む。
「探したんだぞー。ラインの返事はくれるのに、学校ではずっと避けられてるしさ」
少しだけ息を切らした圭吾くんが言う。
周りの生徒達がチラチラ見てくる。
ヤバイ、圭吾くんの告白の相手だってバレるかもしれない。これで変な噂が……大事になるなんてやだ。
「圭吾くん、ちょっと場所変えようっ」
カレーを半分弱残したまま、私は圭吾くんの手を引き食堂を後にした。そのまま人気のない階段へ向かった。
「圭吾くん、あんな人がいる場所で話しかけるなんて、みんなに見られるじゃんっ」