はじまりはミステイク
「どうしたらいいか、分かんない……」
圭吾くんのことも、藤山のことも。
自分のことも。
中途半端にしていることは分かってる。
ハッキリない自分が悪いのも分かってる。
でも、どっちも傷つけたくない。
夜。
【良かったら電話しない?】
藤山からのラインが届いた。リビングにいた私はそそくさと自分の部屋へ向かう。
【オッケー】
返信をしてベッドに横になる。
数分後、藤山から電話が来た。
『ご飯食べた?』
「ぶっ、第一声がそれかい!食べたよ」
藤山の言葉に思わず吹き出してしまった。
『まだ悩んでるでしょ?』
「何のことを?」
『圭吾先輩のこと』
「うーん……まぁ」
ベッドに飾っているお気に入りのクマのぬいぐるみを見つめながら答える。
『あの告白の返事ってもうしたの?』
「してない。ていうか出来ないっ」
『なんで?』