はじまりはミステイク
「な、なんでって、あ、アンタと付き合ってるじゃん、私。そんな二股出来ない!」
二股っていうレベルのお付き合いでも無いのですがね。
電話口で藤山がふっと笑う声が聞こえた。
「何笑ってんの」
『あまりらしいなって』
もう、バカにして。
『明日の放課後、部内で練習試合するんだ。部活見に来てよ』
「無理無理っ。圭吾くんと顔を合わせるのはちょっと……」
『先輩達と試合するんだよ。もちろん圭吾先輩も出るよ』
う、圭吾くんの剣道着姿、か。
まだ一度も見たことないし、興味あるかもってダメダメ!意識しちゃって絶対見れない!
『前にも言ったけど、圭吾先輩ってすごいんだよ』
「うん」
『絶対惚れ直すよ。だから、試合見たら圭吾先輩に気持ち伝えていいよ』
え?
『それで俺達は終わり。友達じゃないし、まぁ先輩後輩になるね』
藤山、何言ってんの。
俺達は終わりって何?
先輩後輩って、何?