はじまりはミステイク
「ふ、藤山、それ笑えないって」
『笑いはとってないよ。だって、この考えは普通だと思うよ。あまりと圭吾先輩が両思いなのに、俺とあまりが付き合ってるなんて変だよ』
変、で済まされるんだ。
「それじゃあ、藤山はこれからどうなるの。女の子紹介されちゃうんじゃないの?」
『彼女と別れたばっかだからって理由で、しばらくは大丈夫そうかな。そんな心配してくれてるの?』
「だって自分で言ってたじゃん」
『ははっ、そんなこと覚えてくれてたんだ』
話を終わらせたくない。
ねぇ、藤山。
別れるってことをガッカリしてる私がいるんだけど……気づいてる?
『じゃあ、これで』
「待って!」
最後のカケをしてもいいかな?
「私からもお願いがある」
『何のお願い?』
最後の、ズルいお願い。
「明日の練習試合で、藤山が圭吾くんに勝ったら、私圭吾くんに好きって言う」
こんなお願い、聞いてくれる?