はじまりはミステイク



道場には、剣道部以外に空手部もいた。ていうか、藤山の練習姿を見るのって、学校では初めてかもしれない。


初めてなのに、もう最後かぁ。


しみじみ思っていると、剣道部の姿がチラホラ。あっ、藤山だ。準備してる……って、あっ、圭吾くんだ。


ヤバイ、初めて見た剣道着……似合ってる。


「こりゃ、ニヤけるね」


独り言を呟いた私。誰にも聞かれていないみたいだ。


観戦場所は道場内にあるドア付近。他女子に紛れて観戦する予定だ。きっと、この女子達も練習試合をすることを聞きつけて来たに違いない。



「見てー!圭吾くんカッコイイよ」


訂正。圭吾くんファンだった。


そして、藤山が言ってた練習試合が始まった。藤山は何人かと対戦しほぼ勝っていた。いつも圭吾くんのことをすごいって言ってるけど、そう言う藤山もすごいよ。


「次、藤山と白津」


いよいよ藤山と圭吾くんの出番だ。


両者が前に出て綿の上に面をかぶる。紐を結んで竹刀を持ち、枠の中心へ歩き出した。



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