はじまりはミステイク



藤山、勝て。勝て!負けるな!


「一本!藤山!」


1ー1。


次で決まる。


「始め!」


この試合が終わったら、私は喜んでいるのかな?それとも泣いているのかな。


藤山が勝てば、藤山とは終わり圭吾くんへ告白する。


藤山が負ければ、圭吾くんへ断りの返事をする。


どっちを選んでも、どっちかを傷つける。


でも、心が震えるの。


「……ふじ、やま」


藤山、勝ってって。


「……藤山」


ううん、違う。


藤山、負けてって。


勝たないで。負けて。最低なお願いをしながら2人の試合を見守る。


「……負けて」


勝たないで。


圭吾くんに勝たないで。


私から、離れていかないで。


「勝負あり!」


他部員が持つ旗が……藤山に上がった。


「藤山の勝利!」


願いは、届かなかった。


藤山は、勝った。


私と藤山は、もう終わりなんだ。



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