はじまりはミステイク
なんで、私こんなにイライラしてるの?
なんで、藤山を見ると涙が出てくるの?
「あまり?」
「なに……」
「なんで、泣いてるの?」
「知らない。そんなの藤山に関係ないっ」
藤山から目をそらし、地面を睨みながら吐き捨てる言葉。
藤山を見ると、涙が出てくる。
藤山を見ると、思ってもない言葉達が溢れてしまう。
「泣かないで」
頭上から降ってきた言葉と温かい手。頭をポンポンって撫でてくれている藤山の手。
優しくしないで。
「藤山と……天木?」
すると、声がした。この声は、圭吾くんだ。
私は慌てて顔を上げた。
「え、天木なんで泣いてんの?」
圭吾くんに泣き顔を見られた私は慌てて涙を拭う。
「なんでもないっ」
「なんでもなくないじゃん」
「圭吾先輩」
私と圭吾くんの会話を遮った藤山。
「コイツが話あるみたいです」
そう言って私達の元から去った藤山。