はじまりはミステイク



私はダッシュで教室へ向かった。


涙で視界が滲んでぼやけて、それでも走って走って。やっと教室にたどり着いた。


思いっきりドアをあけて、私の帰りを待ってくれていた一華ちゃんの姿を見つける。


「おかえり……って、まりりん!?」


私はすぐさま一華ちゃんの胸に飛び込んだ。


「う、うわぁぁぁんっ」





声に出して泣いたのはいつぶりだろう。


人の温かい胸の中で泣いたのはいつぶりだろう。


「まりりん」


「藤山ね、ひっく……勝った」


「え……」


「藤山と別れた」


一華ちゃんが優しく背中を撫でてくれる。


「でもね、藤山との約束破っちゃった……」


「どんな約束?」


「圭吾くんのこと、振っちゃった」





最後なのに、約束も守らなかった。


ごめん、藤山。


そして、私はしばらく、一華ちゃんの胸の中で泣き続けた。



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