はじまりはミステイク
でも、その反面で会うかもしれないなんて、期待をしている自分がいる。
どんな顔をして会おう。
何て声かければいいかな、とか。
「こういう時にテスト期間とかあれば、無理にでも勉強に集中してやるのになぁ〜」
「そんなこと言って。勉強に集中出来たこと何回あった?」
「い、今は勉強やる気期間なの」
それしかこのモヤモヤをぶつける場所がない。
「おーい、今日の日直!英語のノート職員室に持って行ってないぞ」
クラス委員の下田が声を上げて言う。
げ。今日って私じゃん。ペアの駒沢は運良くクラスにいないし、最悪。
「はーい。今から持っていきまーす」
ダラダラと立ち上がり、教卓にある英語のノートの束を持って教室を出る。
「お、重……」
しまったなぁ、一華ちゃんにでも手を借りるべきだった。もう一度教室に戻ろうかな。
そう思っていた時だった。
「半分持つよ」
持っていた英語ノートが右隣へ半分以上消えた。隣を見ると、圭吾くんが立っていた。