はじまりはミステイク
「一華ちゃん!今日の放課後暇!?」
教室に戻った私が荒れているのを見て、一華ちゃんは苦笑。
「バイト」
「うぅ、ですよね」
「明日なら休み」
「え!?本当!?」
「マジ。明日どこか寄ってく?」
「じゃあ、カラオケ付き合ってくれる?」
「ど〜うして〜君を好きになってしまったんだろう〜」
次の日の放課後、イン、カラオケ。
左手にマイク、右手は自己満の振り付け。イスの上に立ちながら熱唱している女子高生、天木茉利。一華ちゃんは薄笑いをしながら、両手を上げて左右に動かしてくれている。
「ふぅっ、次一華ちゃん!」
「はいよ」
そして、一華ちゃんへバトンタッチ。マイクを持った一華ちゃんは、座りながら切ないラブソングを歌い出した。
またこの歌詞が切ない片思いなの。一華ちゃんの歌唱力に魅了されながら、ぼんやりとあることを考えた。
片思い……。
自分はずっと片思いをしていた。
圭吾くんに思いを寄せていた。