はじまりはミステイク



いつか振り向いてくれたらいいな、私の好きに気づいてくれたらいいなって、ずっと思ってた。


だから、今回みたいなことが起こるなんて思ってもみなかった。


「まりりん?」


歌い終えた一華ちゃんが私を見る。


「一華ちゃん、両思いになれて嬉しいのにすっごく喜べないのはなんでなんだろうね」


圭吾くんと両思い、ずっと夢見てたことだった。


「気づいてないの?」


「え?」


「まりりんの中に藤山がいるでしよ?」


藤山!?


「え?私藤山のこと気になってるの!?」


「てっきりそうなのかなって思ってたけど、逆に違うの?」


え?私が藤山を?


「ナイナイ」


「じゃあなんで圭吾くんの告白を断ったの?なんで藤山といてドキドキしたの?なんで」


「ストップ!もうドキドキしてないっ」


「……そのストップはスルーするよ」


それじゃあ、私は藤山のことが気になってたからドキドキしてたし、圭吾くんとのことを応援されても喜べなかった、と?



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