はじまりはミステイク
それでも時には頭の片隅にチラつくもので、突然ヘコんじゃったりもしたけどね。
「今日はありがとうね!」
カラオケを出て一華ちゃんに言う。帰り道が異なるため、彼女とはここでお別れだ。
「まりりんの恋の悩みを存分に聞けたし楽しかったよ。また相談してね」
「もちろんっ。気をつけて帰ってね」
季節は秋。少し辺りは暗めだ。
藤山といる時は、時間はあっという間に思えた。
でも、藤山がいない今は……結構時間が経つのが遅い時が多い。
「一緒にいて楽しかったんだけどなぁ……」
家に向かいながら独り言を呟く。
そっか。
楽しかったのは、私が藤山のことを気にしてた……好きになっていたから?
何でも言えるほど気を許せて、一緒にいたいって思えたのもその理由?
「……気づくのが遅すぎたじゃん」
重いため息を吐く。
すると、どこからか男子のはしゃぐ声が聞こえた。顔を上げると、反対車線側の歩道にいる男女数名が目に入った。