はじまりはミステイク



それでも時には頭の片隅にチラつくもので、突然ヘコんじゃったりもしたけどね。


「今日はありがとうね!」


カラオケを出て一華ちゃんに言う。帰り道が異なるため、彼女とはここでお別れだ。


「まりりんの恋の悩みを存分に聞けたし楽しかったよ。また相談してね」


「もちろんっ。気をつけて帰ってね」


季節は秋。少し辺りは暗めだ。


藤山といる時は、時間はあっという間に思えた。


でも、藤山がいない今は……結構時間が経つのが遅い時が多い。


「一緒にいて楽しかったんだけどなぁ……」


家に向かいながら独り言を呟く。


そっか。


楽しかったのは、私が藤山のことを気にしてた……好きになっていたから?


何でも言えるほど気を許せて、一緒にいたいって思えたのもその理由?


「……気づくのが遅すぎたじゃん」


重いため息を吐く。


すると、どこからか男子のはしゃぐ声が聞こえた。顔を上げると、反対車線側の歩道にいる男女数名が目に入った。



< 198 / 246 >

この作品をシェア

pagetop