はじまりはミステイク



時には藤山とすれ違うこともあった。


「藤山、あれあまりちゃんじゃ……」


というKYのマツって奴の声が藤山の隣から聞こえた。


「マツ、行くよ」


素っ気なく言った藤山は、私と目をそらして歩いて行った。


「チッ。そうやって避けるのムカつくんですけど!」


小さくなった藤山の後ろ姿に愚痴を吐くのも、増えていった。




昼休み。


「また避けられたんだけどっ」


そう言って一華ちゃんにぶつけるのも、もう何度目だろう。


「今日もお疲れ様です」


と一言述べた一華ちゃんはいちごジュースを飲む。せっかくのお昼ご飯タイム中だけど、彼女は聞いてくれる。


「話しかけることも出来やしない。かと言って、話す内容もないんだけどさ?」


「うんうん。まりりん、すっかり藤山でいっぱいのところ悪いんだけどさ」


「?」


「圭吾くん来てるよ」


教室のドアを見ると、圭吾くんが小さく手を振ってこちらに歩いてきた。



< 200 / 246 >

この作品をシェア

pagetop