はじまりはミステイク
時には藤山とすれ違うこともあった。
「藤山、あれあまりちゃんじゃ……」
というKYのマツって奴の声が藤山の隣から聞こえた。
「マツ、行くよ」
素っ気なく言った藤山は、私と目をそらして歩いて行った。
「チッ。そうやって避けるのムカつくんですけど!」
小さくなった藤山の後ろ姿に愚痴を吐くのも、増えていった。
昼休み。
「また避けられたんだけどっ」
そう言って一華ちゃんにぶつけるのも、もう何度目だろう。
「今日もお疲れ様です」
と一言述べた一華ちゃんはいちごジュースを飲む。せっかくのお昼ご飯タイム中だけど、彼女は聞いてくれる。
「話しかけることも出来やしない。かと言って、話す内容もないんだけどさ?」
「うんうん。まりりん、すっかり藤山でいっぱいのところ悪いんだけどさ」
「?」
「圭吾くん来てるよ」
教室のドアを見ると、圭吾くんが小さく手を振ってこちらに歩いてきた。