はじまりはミステイク



周りの生徒は、圭吾くんのその姿を微笑ましい眼差しで見ているのがすごく分かる。


「よっ。会いに来た」


「会いに来てなんて頼んでないのだが?」


「まぁまぁ。俺達も混ぜてよ。竜も連れてきたし」


そう言う圭吾くんの隣には竜くんの姿。そんなこんなで4人でご飯を食べることになった。


今日は私も一華ちゃんも珍しくお弁当だから、教室で食べていたところだった。


「で、天木は何を怒ってんの?」


「聞いてくれる?」


私は藤山の件をドバーッと圭吾くんへ伝える。


「ふーん、藤山のことか」


そう言って、チョコレートパンをパクッと食べた圭吾くん。


「聞かなければよかった」


「?なんで?」


「だって、俺を負かした藤山だぞー?アイツは俺のことを持ち上げるくせに、いざって時には勝つ奴だからな!」


それは以前の練習試合のことを言ってるのかな?


「要するに、天木は藤山に未練タラタラってことなの?」


「未練!?ナイナイ!」


未練以前に、やっと好きだということを自覚したのだから。



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