はじまりはミステイク
「そ?まぁ、それはそれで助かるけど」
圭吾くんは最近、ドキッとするようなことをよく言う。無意識なのか意図的になのかは、聞くのが怖くて聞けないけど。
「そ、そんなことより、竜くんはどうなの?好きな子とかいないの?」
チラッと一華ちゃんを見て、竜くんへ話を振る。
「好きな人いるよ」
「そうなの?」
これには一華ちゃんも反応する。
「誰か聞いてもいい?」
ちょっとニヤニヤしながら聞いてしまう私。
私的に一華ちゃんと竜くんのセットがお気に入りだから、くっつかないかなって思ってるんだけどどうなのかな?
一華ちゃんにもなかなか聞きにくくて聞けてないし、でもどうにかこうにかくっつけたい気も……
「うん。坂下」
……え?
「坂下って、一華ちゃん?」
「?他にいるっけ?」
「え、竜くんって一華ちゃんのことが好きなの?」
「うん」
そのまま淡々と持参しているお弁当を食べる竜くん。一華ちゃんを見ると、何度も瞬きをして竜くんを見ていた。