はじまりはミステイク
「まさか……彼氏が出来るとは」
昼休みが終わり、階段掃除をしていると一華ちゃんが呟いた。
「ふふっ、一華ちゃんよかったね」
「あんまりイキナリすぎて実感ないわ」
そう言いながらも少しだけニヤけている彼女。
くそう、竜くん幸せにしてよ!絶対!
「先に彼氏出来てごめんね」
「本当だよー。もう、このこのっ」
一華ちゃんにコチョコチョをする私。可愛いなぁ、もう。
私もこんな風に内面から可愛くなれたらいいのに。アイツの前でも、意地を張らないで素直に話せたら……
「あっ、藤山だ」
階段の踊り場にいた私は、階段下を通った藤山を発見。すぐさま階段を降りてその背中を追う。
「藤山!」
藤山は、すっと振り返る。私を見るなり小さくため息を吐く。
「なに、先輩」
出た、その先輩発言。
「な、何もないよ。ただね、その先輩っていうのはやめてくれない?違和感ありすぎ!」
「じゃあ、天木さん?」
「それもやだ。ねぇ、前みたいに」
「急いでるから、じゃあね」