はじまりはミステイク



相手にされてないのが分かる藤山の態度。あんなに冷めまくって、ムカつくったらありゃしない。


「先輩って言うなら敬語を使えっつーの!」


去って行く藤山の背中に叫ぶ。周りからどんな目で見られても、今の私は気にならない。


藤山に冷たくされても、避けられても、藤山の後ろ姿に愚痴を吐くのは……藤山に気づいて欲しいから。


藤山に相手にされたいからなんだよ。


でも、今日も藤山は振り返らず、そのまま歩いて行く。




「藤山の……バカ」


好きにさせといて何よ。


そんな態度、ズルいんだよ。


圭吾くんに片思いしてたこととか、圭吾くんと両思いだったこととかさ、藤山に会ったらぶっ飛んじゃうんだよ。


好きなんだよ、藤山のことが。


「気づいてよ……」


まさか、藤山のことを好きになるなんて思いもしなかった。


でも、好きになったんだ。


圭吾くんよりも、藤山が好きになっちゃったんだ。



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