はじまりはミステイク
こっちはあんたのことが好きになって、話したいのに話が出来ない乙女なんだよ!?
あんたが何に怒ってるのかさえも分からなくてイライラしてるのに、話すことはないだと?
「もうっ、ムカつくから返事しないっ」
ケータイを放置して頬杖をつく私。
「ふん。なんでこんな奴気にしてんだろう。あーやだなぁ」
「そんなこと言っても、好きになったから仕方ないじゃん」
一華ちゃんがふっと笑う。
彼女は竜くんと付き合い始めてから、まだ1ヶ月も経たないけど順調そう。見ててほのぼのするしここ最近の唯一の癒しだ。
「そういえば明日午後から楽だね」
「何かあったっけ?」
「ほら、芸術鑑賞だよ。文化ホールに行って鑑賞するやつだよ。今年は何かな?」
ほう、芸術の秋だもんね。
「全校生徒だっけ?」
「そうそう。去年も歩いて行ったじゃん」
そういえばそうかも。