はじまりはミステイク



「ちょっ、藤山っ」


私はすぐさま藤山の元へ駆け寄った。藤山の隣には、彼の友達のマツもいた。


「……何」


「昨日のライン何?私は話がしたいんだけど」


「俺は話したいことはないよ」


藤山の隣を歩きながら会話をする。一華ちゃんは少し前を歩いていた。


「私と話すの嫌なの?」


「嫌だね」


「な、なんで」


「嫌だから」


「そんなの理由になってないじゃん」


徒歩5分の距離は近過ぎる。もう文化ホールが見えてきた。


「何が嫌なの。私が告白を断ったから?」


「それもあるよ」


「でも、藤山には関係ないじゃんっ」


すると藤山が立ち止まって私を見た。


「ずっと言ってたじゃん。圭吾先輩が好きだって。なんで断ったの?」


「そっ、それは……」


アンタのことが好きだからだよ!


なんて言えるわけないでしょうが!!


「俺に悪いとか思ってるでしょ。そんなの嬉しくないから」


そう言って、マツと文化ホールの中へ入っていった藤山。



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